アイネクライネは日本が誇る名曲なのではないか?
今回は米津玄師の『アイネクライネ』
この曲ってYouTubeで2.6億回再生を達成してて(2020.05.03.現在)私が言うまでもなく神曲
神曲ってどいつもこいつも隅々まで「神」としか言いようがない。この曲も私はAメロから既に大好きが溢れてしまうのだ
米津玄師の声が男性ならではの落ち着いていて聴きやすい声なので、余計な電子音やらを使わなくても「音楽」として文字通りかなり楽しめるのである。むしろ、たまに他の楽曲において打ち込みの音が鬱陶しく感じる事もある程に彼の声は素敵だと思う
声の好みは勿論人によって異なる為に一概には言えないが、彼の声の魅力を最大限に発揮しているのが「アイネクライネ」であると私は勝手に解釈している
なぜなら、この楽曲は彼の歌唱からスタートする。「あたし」と歌い出したのをきっかけに「あなたに会えて」と同時にアコースティックギターが追いかけるように鳴り出す。
あくまでボーカルが主人公であるために
この部分で使われている楽器はアコースティックギターのみ。このギターもまた味のある音を聴かせてくれる。
音を止めるために弦を抑える音やスライドする音・弦が歪む音など楽譜上には現れない音楽としての音・アナログ楽器の音を気持ちよく聴かせてくれている
ここで、この楽曲がよかったポイントとしては
バラードとしての美しさを追求して変にピアノなどを加えなかった事である
この冒頭部分の魅力は声とギターのみで構成されるシンプルな美しさであり、余計な音を組み込んではいけない。
simple is bestであり極限まで音数を減らした最適解である
ここからはサビに向けて少しづつ音数が増える。Aメロにおいて先程の「声とアコギ」にプラスしてベースの音が入ってくる。
ここでベースを組み込むのは、単にリズムをとる役割を果たしているのだろう。加えて音の重さを増す役割もある。
どんな音楽にも通ずる事であるが、ベースの低音が加わると圧倒的に音に重みが増す。このAメロから重さが必要な理由は言うまでもなく曲の本編だからである。
あたしあなたに会えて本当に嬉しいのに
当たり前のようにそれらすべてが悲しいんだ
今痛いくらい幸せな思い出が
いつか来るお別れを育てて歩く
まではあくまでも表題でありあらすじ
テレビ番組で言えば告知CMであり書籍で言えばコメントなどが書かれた帯である
この曲が訴えかける本編はAメロから
ここから音を増やすことでぐっと曲に惹き込まれるようになり自然と歌詞の内容を理解しようと言う気になるのではないだろうか。少なからず私はそうであった
ただ、ここでも余計な事は一切しない徹底ぶりである。先程述べたようにAメロ時点で加わる音はベースのみ。先を急ぎすぎて一気に迫力を出すようなつまらないことはしない
それこそ、この楽曲が名バラードである所以だと私は思っている。音数のギャップでリスナーを驚かせる手法も取れるだろうが、それはサビで行うべき事である。今はあくまでAメロである
Bメロからはエレキギターのカッティング加えてクラリネットのような木管楽器(詳しくは分からない)の甲高い音も投入されている
音数も充実してきて
いよいよサビへ一直線というBメロであるが、1番私が気に入っている部分がラストの「どうして」を3回繰り返す部分である
ピアノ譜などを見るか、カラオケの採点バーなどを想像して頂ければ分かりやすいと思うが
「どうして」を1回歌う度に、つまり休符を跨ぎながら段階的に高くなる歌メロになっている
最終的にBメロの最後の音はサビと同じ高さまで上り詰めている。最後のタイ(伸ばす音)の余韻を伸ばしたまま山であるサビに突入する綺麗な繋ぎが私は大好きなのである
また、その盛り上がりを途切れさせまいと歌が休符で止まっている間にドラムが最後の一手かのように迫力満点で鳴り出すのがまた堪らないのだ!
ここからはサビの話しだが、楽譜的に歌は驚く程に休まずに突き進んでいく。休符から休符までの間が長すぎるのである。
このサビを絶妙なタイミングで息継ぎを
しながら歌い上げる人間はとても上手い人なんだろうと思う
そんなサビだが、当たり前のようにここ一番の迫力があるバンドサウンドで過ぎ去っていく。
その裏でポコポコと、鳴ってる木琴の音が綺麗で圧巻である。詩の内容はとても切ないこの楽曲であるがサビの木琴だけを切り取って聴いてみるとまるで爽やかな朝である
ウグイスが木に隠れて囀るように
この木琴もメインの音に隠れてその魅力を披露している。歌だけを聴いていては決して気づけない音である
ここまで書いてきて私は、メインの音に隠れた音が好きなんだなぁと気付かされた次第である
今回は米津玄師の「アイネクライネ」について勝手に思う所を綴ってみた。
この記事を書くにあたって何度も繰り返しこの楽曲を聴き込んだがほんとに名曲中の名曲であるなと改めて実感した
静かな立ち上がりからサビまで徐々に盛り上がりサビでピークを迎える。後にCメロを挟んで大サビでクライマックス
実にシンプルな構成であるが、全楽曲のお手本のような曲だなと感動した
セオリー通りだからこそ多くの人間に突き刺さるものになっているのだなと感じた