YOASOBIのクオリティは、もはや夜遊びの域を超えている

 あけましておめでとうからだいぶ経過してしまい弊ブログは完全に世間から置いてきぼりを喰らうほどにサボり散らかしてしまった。特に固定ファンがついているわけではないので自分の好きなペースで更新すれば良いと頭では理解しているのだが、ここまで放置していると流石に罪悪感を覚えてしまいパソコンに手を伸ばした次第である。

 

私がブログ更新を怠っている間にも音楽は進化して流行も移り変わっている。特に2020年邦楽シーンを代表する活躍を見せたのが「香水」を歌った瑛人と「夜に駆ける」がネットシーンから大爆発したYOASOBIであろう。瑛人は正直元来からの音楽ファンからは不評な印象を受けているために本記事では取り上げない。一方で私がここで激推ししたいのが後者のYOASOBIである。2019年に活動を始めたYOASOBIだが1st シングルである「夜に駆ける」がネットシーンでSNS中心に大拡散され2020年10月にYoutubeの再生回数を1億回を超えるほどのヒットになった。


YOASOBI「夜に駆ける」 Official Music Video

 

 そんなもはや知らぬ人も居ないほどのYOASOBIが2021年の1月6日に1st EP「THE BOOK」をリリースした。ついにYOASOBIの音楽をCDで楽しめるようになったのである。ここまで煽れば流石に何の記事かは見当がつくであろう。本記事はTHE BOOKを試聴した感想を私が気の赴くままに綴らせて頂こうと思う。

 

THE BOOK

  1. Epiloge
  2. アンコール
  3. ハルジオン
  4. あの夢をなぞって
  5. たぶん
  6. 群青
  7. ハルカ
  8. 夜に駆ける
  9. Prologue

 

 YOASOBIの楽曲はボカロプロデューサーであるAyaseが制作しているため多くが打ち込みで作られる。打ち込み以外の楽器やコーラスを挿入する際にもメインである打ち込みを阻害しない音作りがなされており重低音が強く主張することはあまりない。

 

今回の作品でもそうであるようにYOASOBIは特にピアノが印象的である。ネット発のアーティストということやピアノを多用する音楽ということから先発のヨルシカやずっと真夜中でいいのになどと一括りにされるのも致し方ないように感じる。

 

しかし、これが悪いことだと私は思い得ない。先日テレビでも紹介されていたがYOASOBIの楽曲制作法はパソコンとヘッドフォンのみ。つまり少し手を伸ばせば我々も一世を風靡する音楽家になれるのかもしれない。無論そこまでいくにはセンスと多くの努力を必要とするのは言うまでも無いが手軽に楽曲制作に関われるようになったのは良い時代になった素直に喜ばしいことであろう。

 

 今作品の曲順を見ていただいて気づかれるかもしれないがエピローグで始まりプロローグで終わる、普通の物語や作品とは逆なのである。また二曲目には「アンコール」という楽曲が収録されており彼らはネット小説などを元に楽曲制作を行なっているためにエピローグやプロローグまたTHE BOOKという作品名にもつながる。今作品は既存曲が大半を占める。YOASOBIはこれまで一曲ずつをネット上にアップしてきた。それぞれバラバラに出された曲が一つに纏められると

 

めちゃくちゃおもいっっっっっっ

 

我々が今まで聞いたきたアルバムやEPはシングル曲があって落ち着かせるためのアルバム曲がありな作品ばかりだった。n-bunaなんかはそれでもゲロ吐きそうなくらい重かったがYOASOBIはそれを超えてくる。つまりほぼ全てがシングル曲なのである。しかも極め付けにはこれはEPだという現実。

 

しっかりと曲間の空白を長めに設定していたり各曲の個性が混ざらない工夫はなされておりEPを通して一つの作品に仕上げる工夫は相応に成されているものの、重たさ一つを切り取ってしまえばもはやこれはベストアルバムと呼ぶのが相応しいのであろう。

 

 それが良い悪いとは別にこのベストアルバムは単にボカロ畑の出身者の作った楽曲と形容するには惜しい作品であると私は考える。なぜならば歌い手はボーカロイドではなく人間であるからである。

 

初音ミク等のボーカロイドが歌うことを想定して作曲されるものであるならば一音に言葉を詰め込んでいたりメロディの上下を複雑化させ難解なライン取りを行う楽曲が多々見受けられる。しかし、YOASOBIの楽曲たちは基本的なキーが高いことは他として至って人間が歌いやすいように作られている。

 

「群青」においては特徴的なコーラスを混ぜて耳に残る印象的なものに仕上げていたり現邦楽リスナーの好みをしっかりとらえるメロディをボカロ畑の打ち込み音楽とミックスさせた新しいようで一昔前からの音楽から受け継がれている懐メロでもあるのでは無いだろうか。

 

 YOASOBIの最大の特徴で魅力なのがヴォーカルのikuraである。ウィスパーボイスと地声・裏声を綺麗に使い分ける。言葉の節を少しはねるように発声することでリズムをとり抑揚をつける技術など細かい歌い分けを行うことで8曲目の「夜に駆ける」をはじめとする暗いテーマ性を表現している。声質もとてもクリアで聞き取りやすく言い回しの難しいアップテンポ部分の歌詞もそつなく歌いこなす鬼強ヴォーカリストなのである。

 

 YOASOBI自身まだまだアーティストとしての年齢は若くこれからの期待値もとても高い。小説という作品を音楽作品に転換する誰もが考えつくが誰もやってこなかった斬新さと懐かしさの融合など彼らの魅力は十二分に存在していうるために2020年ストリーミングで天下をとった実力をCD作品を通しても同じように発揮し日本の音楽界を楽しませていただきたい。